第68章

その後の古川朱那は、ますます忙しさに追われるようになった。

昼は撮影現場だ。時代劇はクランクインからクランクアップまでが長い。出番も多いし、ワイヤーで吊られたり、刀を振ったり、立ち回りをこなしたり。一本一本のカットに神経を削られる。

(これが、私を証明する最初の作品だ)

そう思うと、手を抜けるはずがなかった。求められたものをこなすだけじゃ足りない。可能な限り完成度を上げ、監督も現場も納得するまで粘る。

一度、水に落ちるシーンを丸一日──いや、一昼夜かけて撮ったことがある。骨まで染みるような冷たさに身体がやられ、翌日は高熱。それでも朱那は歯を食いしばり、誰の足も引っ張らなかった。

そ...

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