第76章

「今日はあいつの「晴れ舞台」だ。今日が終わってからでも、仕掛ける機会はいくらでもある」

古川礼和は複雑な目つきで、古川朱那の背を一度だけ見やった。

古川邦夫は奥歯を噛みしめ、飲み込んだ。

そうだ。今日さえ過ぎれば、この時期さえ過ぎれば――古川朱那に何の後ろ盾が残る? 結局、古川家に寄りかかるしかない。

そのときになれば、あの逆らい娘が頭を下げて折れないはずがない。

やがて式典の開始が迫り、司会が壇上に上がって場を温め、着席を促す。

その瞬間だった。

人だかりの外側から、ざわざわと囁きが湧き起こる。

古川朱那も引き寄せられるようにそちらを見た。

群衆が自然に割れ、一本の通路が...

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