第96章

ほどなくして新たな報告が入った。内田邦平は警察の事情聴取に対し、驚くほど落ち着き払っていたという。

彼は太田力と面識があることは認めた。だが「一度だけ食事をして、仕事の話をした程度です」と、それ以上は踏み込まない。

太田力の息子の海外手術費についても、「まったく知りません」と言い切った。

警察が口座の入出金を洗ったが、不審な動きは見つからなかった。

となれば、確たる証拠がない以上、強制的な措置には出られない。

捜査は一気に泥沼へ沈み、足踏みした。

その頃、古川朱那はアパートのソファに座り、窓の外の重たい夜を眺めていた。胸の奥は、ひやりと冷え切っている。

警察から一通り、すべて聞...

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