第11章
神谷悠太の感情は激しさを増し、黒化値が絶え間なく上昇していく。その瞳には、不安な光が揺らめいていた。
神谷亮は沈黙を守っている。わずかに上下する肩だけが、彼もまた感情の嵐に耐えていることを示していた。
「僕がお母さんを奪ったんじゃない!」
藤井悠真は、悠太が何を言っているのかようやく理解したようで、慌てて立ち上がり反論した。小さな顔を真っ赤にしている。
「お母さんはもともと僕のだもん!君があの時、お母さんを大事にしなかったからだよ!君たちが、お母さんを大事にしなかったから!」
その言葉が導火線となり、神谷悠太の理性を焼き切った。
彼はデザートの並んだテーブルを荒々しく押...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

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9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章


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