第4章

安田美月と佐藤明子は公園の小道を抜け、遊び場へと足を速めた。

遠くから子供たちの騒ぎ声が聞こえ、美月の心臓が跳ね上がる。不吉な予感が胸をよぎった。

桜の木々を回り込むと、藤井悠真が十三歳くらいの少年に肩を掴まれ、何事か低い声で脅されているのが見えた。

佐藤の娘である千夏がその少年の腕を必死に引き剥がそうとしているが、彼女の力ではどうにもならないようだ。

「悠真!」

美月の頭にカッと血が上る。滑り台で遊ばせようと、ほんの少し息子から目を離したことを後悔した。

彼女は飛びかかるように駆け寄り、悠真を抱き上げると、そっと囁くように尋ねた。

「怪我はない?どこか触られたりし...

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