第19章

同じ頃、三階の廊下。

小林ゆきは壁の陰に身を潜め、指先が掌に食い込みそうなほど握りしめていた。小林暁がリビングを横切り、そのまま階段へ向かうのを見届ける。いったん瞼を閉じ、開いたとき――胸の奥の不甘と怯えは薄れるどころか、むしろ濃くなっていた。

腰のあたりでぶら下がるスマホの画面はまだ点いたまま。佐藤氷とのチャット画面に固定されている。あの男はなぜか突然おかしくなり、下品な罵声と脅しを連投してきたのだ。

メッセージを受け取った小林ゆきは、すぐ崎原時男に泣きついた。

なのに崎原時男は取り合わないどころか、「自分で片をつけろ」と突き放した。

小林ゆきは腹が立って頭がどうにかなりそうだっ...

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