第31章

チン!

エレベーターが階に到着する。

重厚な電動扉が、ゆっくりと開いた。

病室フロアの廊下に立っていた面々がいっせいに振り返り、中から出てきた崎原時男たちと視線を交わす。

小林暁は彼らの素性を知らない。だが表情は妙に落ち着いているのに、身につけたものだけが静かに目を刺した。オーダーのマットなカシミヤ。均整の取れたシルエットが、それぞれの体に吸い付くように馴染んでいる。小物のひとつに至るまで、行き届きすぎるほどの手が入っていた。

崎原時男の姿を見ても、彼らは馴れ馴れしく話しかけたりしない。ただ穏やかに頷くだけ。

小林暁は「ただ者じゃない」と察しつつも、崎原時男の歩調に合わせて進んだ...

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