第43章

羽村秘書はスマホを受け取ると、画面をちらりと確認しただけで、すぐさま社長のもとへ交渉に向かった。

抱えて運ばれてきた子犬の首には、大きなリボンが結ばれている。

崎原時男は少し嫌そうに眉をひそめた。

羽村秘書が即座に説明する。

「奥様への贈り物なら、こういう包装のほうが喜ばれると社長がおっしゃいまして」

崎原時男は頷き、眉間の皺をほどいて子犬を受け取った。

子犬とはいえ、体つきはそこまで小さくない。

「重いな?」

崎原時男が眉を上げ、目を落とす。たしかにまだ幼い顔つきだ。「何か月だ」

「2か月です。ワクチンはあと1回だけ残ってます」

羽村秘書は把握が完璧だった。

子犬に付...

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