第45章

小林暁の心臓が、どくんと強く縮み上がった。視線の先にあるのは、崎原時男の手にした一冊の本――金細工をあしらった玉の腕輪が表紙に描かれた、まさにあの本だった。

書斎から持ち出したまま、回収するのを忘れていた。

男の言葉はどこか含みを帯びているようで、それが何を意味するのか、小林暁にはわからない。ただ、その目の奥がぞっとするほど深く見えた。

「天野さんにいただいたんです」

隠すことでもない。小林暁はまっすぐにそう答えた。

崎原時男は、天野夢華が小林暁に接触していることも、それが小林光の意向によるものだということも把握していた。

ただ、まさか天野夢華がここまで直接的に、小林月子の存在を...

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