第49章

会うまで、あと三十分。

小林光はスイートルームのバルコニーに立ち、肘を手すりに預けて、眼下のホテル正面入口を見下ろしていた。深い眼差し――何を考えているのか、読み取れない。

「待ちきれないの?」

天野夢華がワイングラスを揺らし、からかうような目つきで近づいてくる。

声に小林光は顔を向け、彼女だと確認すると、平然とまた視線を戻した。

「別に。会ったことはあるだろ」

天野夢華は、病室で一度顔を合わせた件を言っているのだと理解した。手すりに背を預け、ワインを一口含む。

「立場が違うじゃない。緊張するのは普通よ」

小林光は鼻で笑った。

「緊張?」

その理屈がどこから出てくるのか、...

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