第59章

成田七海は外ではいつも強気だ。だが藤原空人がさりげなく助け舟を出してくれたと気づくと、さすがに少し気まずくなる。ぐちゃぐちゃに濁った頭の奥にも、かろうじて理性の芯だけは残っていた。

「ありがとうございます、藤原様」

七海は俯いたまま、礼儀正しく見える角度で礼を言った。

藤原空人は手元のグラスを何気なく自分の前へ置き、酔いが顔に出ている女を見上げる。眉尻をすっと上げて、

「気にするな」

早村勝友は、成田七海が確かに酒を口にしたのをこの目で見て、思わず胸のつかえが下りた。七海の背後に立つ男と目を合わせ、得意げに口角をつり上げる。

そして早村勝友が口火を切ったことで、席の下座にいる連中...

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