第62章

小林暁は、自分の部屋に監視が入っていることなどまるで知らなかった。もともと崎原時男を信用していないこともあって、成田七海から電話がかかってきても、ほとんど口を開かなかった。

『暁! とんでもない大ネタ! 崎原時男がなんで小林ゆきを追い出したのか、知ってる?』

受話器の向こうで、成田七海はやけに大きな声を張り上げていた。息は乱れ、時おり風を切る音まで混じる。どうやら走っているらしい。

小林暁はスマホを耳から離し、時間を確認した。夜の11時。訳がわからず問い返す。

『こんな時間に夜走り?』

『好きでこんな目に遭うわけないでしょ』

成田七海はひらひらと手を振り、車のそばで待っていた佐藤...

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