21、
後藤正樹視点
「片方が穀物の藁を焼いた灰のテクスチャ、もう片方がアヤメ系の植物を焼いた灰のテクスチャです」
白川蘭が、声を潜めるように説明する。
しばらく見比べ、俺は片方に手を添えて示した。
「こっちのほうが好き?」
蘭はすぐに意図を汲む。
俺は頷く。
「層が細かい。見ていて飽きないし、散らかって見えない」
途端に、蘭がぱっと笑った。
「私もそれ! やっぱり直感っていちばん当たる」
「……うん」
返事は淡く。けれど胸の内は、最初から荒れていた。
「この試料は……橘奈々未のオーダー彫刻用か?」
俺が尋ねると、
「そう。天然の肌理はやっぱり独特だから。彼女、きっと好き...
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