45、

後藤正樹視点

唇を重ねようとした、その瞬間だった。

彼女はぐっと両手で俺の胸を押し返し、堪えるような叱責を滲ませて言った。

「……もう、やめて」

逃げるだろうな――最初から、そう思っていた。

だから拒まれても、胸の奥に意外性なんて欠片もない。

俺はその場に立ったまま、焦りも見せずに視線を上げる。

彼女と目が合った。いや、合いかけた、が正しい。

俺の目の奥にある熱――欲を、彼女は真正面から受け止めきれない。

わずかに肩を強張らせ、慌てたように視線を落とした。睫毛が小さく震えている。

「わたしたち……こういうの、だめ……」

震える声。理性と本音がせめぎ合う音。

その脆さが...

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