52、

白川蘭視点

私は気まずさをごまかすみたいに、意地で言い返した。

「じゃあ、やり返せばいいじゃない」

彼はのんびりと服についた砂を払ってから、ペットボトルのキャップをひねって水を飲む。口調は淡々としていた。

「子ども相手にムキになる趣味はない」

言葉を失った。内心の居場所のなさに身を縮めた、そのとき――遠くから足音が近づいてくる。

後藤快斗が、二人の父親を連れてこちらへ歩いてきていた。

変な空気を悟られたくなくて、私は慌てて立ち上がる。羽織っていた日焼け対策のパーカーを脱ぎ、耳たぶに挟むタイプの石膏ピアスを外して、さっとバッグの奥へ押し込んだ。

「泳いでくるね」

快斗は私を見...

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