57、

白川蘭視点

くしゃくしゃの部屋着と、手ぐしも通っていない髪を見下ろして、私はスリッパすら放り出したまま裸足で部屋へ駆け込んだ。適当に肩ひものワンピースを引っかける。

ソファに戻っても、どうにも落ち着かない。

壁の時計に目をやっては、すぐ逸らす。

立ち上がって棚の前へ。少し前に捏ねた彫刻の素体を手に取り、ぼんやり指先で撫で回す。

――ようやく、階下に車が止まる音。

手を洗って、顔つきを整える。なのに口元だけは勝手にゆるんでしまう。

コンコン、とノック。

私は反射で声を上げた。

「どうぞ」

玄関のあたたかい白い灯りの中に、後藤正樹が入ってくる。白いシャツに黒いパンツ。背筋の通...

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