第13章

ダメよ!

彼女は元々、高橋和也が自分に触れることはないと思っていた。あれほど嫌っているのだから。しかし今となっては、男というのは本当に下半身で考える生き物なのだと分かった。どんなに嫌いな女性でも、欲望さえ湧けば平気で手を出すのだ。

佐藤七海の両手が落ち着かなく辺りを探り、最後に隣にある内線電話機に触れた。彼女はその威力がどれほどのものか考える余裕もなく、受話器を掴むと思い切り高橋和也の頭に叩きつけた。自分がどれほどの力を使ったのかも忘れていた。まあ、彼女にどれほどの力があるというのだろうか。

しかし、叩きつけた瞬間、高橋和也が苦しそうに唸り声を上げ、すべての動きを止めた。そのまま彼女の...

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