第30章

高橋心奈は佐藤七海からのプレゼントを手に取りながら、きっと限定品で和也兄を喜ばせようとしているのだろうと思った。和也兄はそういう限定品が好きなのだ。

突然、彼女はひらめいたように悪戯っぽく笑い、自分のプレゼントも手に取ると、こっそりとその場を離れ、側にいたメイドに言いつけた。「ねえ、この二つの箱の包装紙を取り替えて、それから……ふふふ……」

高橋心奈の口元に浮かんだ笑みは陰険で狡猾だった。自分の傑作を想像して、その場面がきっと素晴らしいものになると思いを巡らせていた。佐藤七海の醜い表情を想像すると、高橋心奈は思わず声を出して笑ってしまいそうだった。

傍らのメイドは彼女がずっとひとりで馬...

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