第50章

一階のロビーでは、全員が忙しそうに見えた。フロントの電話は鳴りっぱなし、この時間帯はちょうど午後の出勤時間で、全員が出勤打刻のために列を作っていた。打刻時間まであと十五分だが、彼らはまだギリギリを攻めていた。

「先に行かせて!先に行かせて!」

「私が先!急いで!遅刻しちゃう!」

だが突然、背後から悪魔のような低く沈んだ声が響いた。「私から見れば、お前たちはすでに遅刻している」

その声に全員が背筋を凍らせ、一瞬で鳥肌が立った。一斉に振り返った彼らは、まるで白昼に幽霊を見たかのような表情で、声を揃えて叫んだ。「社長!」

後ろから急いでやってきた社員たちも高橋和也の姿を見るや、本当に幽霊...

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