第139章 あなたを探して

あっという間に金曜日は訪れた。

「九条、アイ社長と一緒に向かっているのか?」

「ええ、もうすぐ着きます。先輩はもう到着されていますか?」

「ああ、入り口で待ってるよ」

「分かりました。では後ほど」

「ああ、また後で」

電話を切ると、アイが尋ねてきた。

「あの先輩、綾のこと好きなんじゃない?」

九条綾は彼女を振り返った。

「気づいた?」

「気づいてないのとでも思った?」

九条綾は首を横に振った。

「気づいてるわ。でも、新しい恋を始めるつもりはないの」

「まだ若いのに」

九条綾は視線を窓の外へ移し、静かに呟いた。

「私にはあなたたちがいるから十分よ。感情っていうのは...

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