第157章 全部食べる

「妊娠というのは、案外自然に任せるのが一番でしてね。欲しい欲しいと焦るほど、かえって遠のいてしまうケースはよくあるんですよ。心をリラックスさせて、旅行にでも行って羽を伸ばした途端に授かった、なんて話も珍しくありません。私の言いたいこと、分かりますよね?」

 九条綾はもちろん理解していた。彼女だって、これまで散々調べ尽くしてきたのだから。だが、旅行をしてリラックスするなどという妊活方法は、彼女と西園寺蓮にとって非現実的でしかなかった。

「ええ、分かっています」

 結城和也は気まずそうに鼻をさすった。まるで暴君の悪事に加担しているような気分で、一秒たりともここに居たくなかった。

「まだ患...

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