第158章 事件発生

九条綾は、苦悶に顔を歪める彼の様子を見て胸がすくような思いだった。だからあえて教えなかったのだ。鼻をつまんで一気に飲み干すべきだとか、その後に甘い果物で口直しをしたほうがいいとか、そんな親切なアドバイスは。

綾は微かに口角を上げて嘲笑うと、自分の家の碗を受け取ってさっさと帰ろうとした。

だが、西園寺蓮がそれを許さなかった。彼は綾の手首を掴むと、僅かな力で彼女を自分の懐へと引き寄せた。

「きゃっ!」

短い悲鳴と共に、綾は彼の胸に倒れ込む。彼女は体をくねらせ、抗議の声を上げた。

「西園寺蓮、何するのよ?」

蓮は彼女を強く抱きすくめたまま、滑り台の上にいる好奇心旺盛な光に視線を向けた。...

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