第184章 全然洗い終わらない

瑞原真奈は、アイが誤解しはしないかと気をもんでいたが、それはまったくの杞憂に過ぎなかった。アイの心には、誤解のさざ波ひとつ立ってはいなかったのだから。

真奈の言葉が耳に入っても、アイは階段を上る足を止めず、皆の視線を背に自室へと姿を消した。

木村が真奈に視線を向け、尋ねた。

「旦那様は、今夜はお戻りにならないのでしょうか」

真奈はフォークを手に取り、皮肉を込めて吐き捨てた。

「戻らないどころの話じゃないわよ!」

食事を終え、シャワーを浴びた後、真奈はしばらくアイの部屋の前に立ち尽くしていた。

だが結局、ノックすることはなく、踵を返して客室へと戻った。

本来なら自分のマンション...

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