第186章 親切な神宮寺社長

電話の声に耳を傾けていると、オフィスのドアが開いた。

アイが視線を上げると、薬の袋をぶら下げた神宮寺賢一が入ってくるのが見えた。彼女はそれを見てから受話器に向かって言った。

「分かりました」

神宮寺賢一は中に入ると、無造作に薬の袋をデスクに放り投げた。

アイはすぐには薬に手を伸ばさず、ただ彼を見上げた。

つい先ほどまで夫婦の営みを交わしていたというのに、二人の間に男女の情愛や夫婦らしい温かみは微塵も感じられない。

神宮寺賢一はデスクに両手をつき、薬の袋を一瞥して鼻で笑った。

「やるたびに飲むつもりか? いっそ薬局ごとここに引っ越したらどうだ」

その当てこすりに、アイの表情が凍...

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