第150話死んだ胎児

三人称視点

現場はたちまち修羅場と化した。医療スタッフが担架を抱えて駆け上がり、血にまみれたナンシーの身体を手際よく載せる。

意識が薄れかけているというのに、ナンシーの指先だけはぶれずにエマを指し続けていた。

「人殺し……」

か細い声で、その言葉を繰り返しつぶやく。

真相を知らない見物人たちにとって、憐れで痛ましい彼女の姿は火に油だった。人々はたちまちエマを取り囲み、逃げ道を塞ぐ。

「逃がすな!」

「妊婦を突き落とすなんて、なんて悪辣だ!」

非難と罵声が次々と沸き起こる。

エマは立ち尽くすしかなかった。顔色は青白い。担がれて運ばれていくナンシーを見送りながら、口を開いたものの、言...

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