紹介
妊娠したと知った私は服を脱ぎ捨て、アルファである夫に激しく抱かれるままにした。
クラウスは私の乳首に吸いつき、低く唸りながら吐き捨てた。「エマ、この尻軽女……おまえは本当にそそる」
燃えるような交わりのあと、私は妊娠検査薬の結果を見せようとした。だがクラウスは氷のように言った。「離婚しよう、エマ。ナンシーには俺が必要なんだ」
――
クラウスは、エマがいつまでも自分を待ち、自分を愛し続けると思い込んでいた。
だが、彼女が離婚届に署名したその日から、エマの心は死んだ。
彼女は財産のすべてを手放し、群れを去り、二度と振り返らなかった。
クラウスは狂った。
至高のアルファは、元妻を幾度となく追いかけた。ただもう一度だけ、自分を見てほしかった。
チャプター 1
エマ視点
「エマ、おめでとう! 妊娠してるわ!」
私は口元を押さえたまま、超音波画像に映るぼんやりした影を見つめた。
「デイジー、信じられない……。私、本当に妊娠したのね……」
夫のクラウスはゴールデン・ムーン・ウルフ族のアルファで、彼のルナである私は、狼を持たない人狼だった。
結婚して一年、子どもを授かれないのは自分のせいだと、ずっと責め続けてきた。
またクラウスを失望させるのが怖くて、私は彼には黙ったまま、一人で病院へ検査を受けに来ていた。
「ああ、エマ、本当によかった。あなたにはその資格があるわ」
デイジーは私を抱きしめた。「どれだけあなたが頑張ってきたか、私たちはよく知ってるもの」
私は涙を乱暴にぬぐい、超音波検査の報告書をたたんでポケットにしまった。
「今夜、この素敵な知らせをクラウスに伝えるの。きっとすごく喜んでくれるわ」
病院を出た私は、夫と暮らす家へ戻った。
私は彼の大好物の黒胡椒ステーキと、いくつかの繊細な付け合わせを用意し、ロマネ・コンティを一本開けた。
けれど料理は冷めていき、それでもクラウスは帰ってこなかった。
食卓に座っていると、突然、私のスマートフォンが震えた。差出人不明のメッセージと一枚の写真だった。
写真の中では、私の夫がケーキを切り分けていた。
それなのに、彼は一度だって私と誕生日を祝ってくれたことがない。
メッセージが表示される。
[エマ、あなたの夫は今、私と一緒に私の誕生日を祝ってるの]
[しかも、五百万ドルもする腕時計までくれたわ]
[エマ、私が誰か知りたい? すぐに分かるわ]
全身の血が凍りついた。
クラウスと結婚してからというもの、この女はずっと私に挑発的なメッセージを送りつけてきていた。
クラウスは私を愛していない。私たちの結婚は、祖父の命令で決められたものだった。
結婚初夜、彼は私を抱かなかった。その代わり、この女と酒を飲みに出かけた。
人前で、彼は一度も私を自分のルナだと認めなかった。群れの者たちでさえ、彼が独り身だと思っているほどだった。
私の誕生日にも、クラウスが祝ってくれるのではないかと淡い期待を抱いて待っていたのに、彼は一本の電話を受けると慌ただしく出ていってしまった。
そして私は、この女がバーで彼と踊っている写真を受け取った。
薄暗い照明の下で、二人の身体は親密にぴたりと寄り添っていた。
それでも私は、彼女が何者なのかをクラウスに問いただす勇気がなかった……。自信のなさゆえに、弱さゆえに、恐れゆえに。
クラウスはいつだって私を、価値のない、狼すら持たない出来損ないとして軽蔑していた。自分にはまるでふさわしくない存在だと。
私はこの結婚を壊さないよう、ずっと必死に守ってきた。クラウスに捨てられるのが怖くてたまらなかったから。
けれど、もう違う。今の私は妊娠している。
私は夜十時まで食卓に座ったまま、スマートフォンをきつく握りしめていた。
すると突然、扉が開き、クラウスが入ってきた。
私はいつもの癖で無理に笑みを作り、立ち上がった。「クラウス、あなたに素敵な知らせが――」
その瞬間、強い酒の匂いが鼻を突いた。
クラウスは酔っていた。しかも酒の匂いに混じって、むせ返るほど甘ったるい香水の香りがした。
女物の香水だ。
言葉が喉につかえた。問いただす間もなく、クラウスは私を抱き上げ、そのまま寝室へ運んでいった。
私はとっさにお腹をかばったが、彼はその上から重くのしかかってきた。
「クラウス、やめて……」
だが彼は、理性を失った獣のように、乱暴に私の首筋へ噛みついた。
結婚してからのこの一年、クラウスはあらゆる面で私に冷たかった。ただひとつ、性のことを除いては。そこに限って言えば、彼は異様なほど激しかった。
彼を押しのけようとした。「クラウス、やめて。今日はそんなことをできる体調じゃないの……」
けれど、わたしの抵抗など彼には何の意味もなかった。
ほどなくして、彼の指はもう、きつく閉じた秘所の奥へと滑り込んでいた。
「動くな。そのままじっとしていろ、エマ!」
クラウスの声は命令そのものだった。
彼はアルファだった。彼の命令を、わたしは拒めない。
指は次第に激しさを増しながら、何度も出入りを繰り返す。わたしは抗えず、脚をさらに大きく開いてしまった。
荒い息を漏らすたび、裸の胸が大きく揺れ、波打つ。
彼は片方の胸を強くつかみ、もう片方の乳首に噛みついた。
快楽と痛みが入り混じり、全身を一気に駆け抜けていく。
わたしの体は、少しずつ彼に応え始めていた。
クラウスは、わたしが従順になっていくのを満足げに受け止め、喉の奥で低くうなった。その動きはさらにせわしなく、切迫したものになる。
彼はわたしの片脚をつかみ、そのまま高く持ち上げて肩に載せた。すでに硬くそそり立ったものを、わたしの入口へとあてがう。
「あっ!!」
快感が全身を満たした。どれほど淫らに見えようとかまわなかった。ただ快楽だけが、わたしのすべてを支配していた。
すべてが終わったあと、わたしは恍惚としたまま、クラウスのたくましい腕の中に横たわっていた。
十分ほどすると、彼の酔いもさめたらしく、呼吸は力強く整っていく。
枕の下に隠した超音波検査の報告書を取り出して、妊娠したという吉報を伝えたかった。
けれど、クラウスの表情はすでに冷えきった無関心へと戻っていた。
そして彼は口を開き、わたしの幸福も幻想も、一瞬で打ち砕いた。
「エマ、離婚しよう」
頭の中がぶうんと鳴り、声が震えた。「クラウス、な……何を言っているの?」
「どうして離婚なんてするの? 冗談でしょう。酔ってるのよ、クラウス……」
「エマ、もうすっかりしらふだ」
クラウスは残酷なまでに、わたしの希望を打ち砕く。
「ナンシーのことだ。彼女は銀毒症に侵されている。医者によれば、もって一年もないそうだ」
彼は煙草に火をつけ、目を細めた。
「死ぬ前に俺と結婚して、俺のルナになること。それが彼女のたった一つの願いなんだ」
ナンシー……。
その名前は、銀の短剣のようにわたしの胸を貫いた。
わたしに何度もメッセージを送ってきた女が、誰なのかようやくわかった。
彼女はニュームーン族の姫であり、そしてわたしの夫が関係を持っている相手だった。
わたしが気を取られているのに気づいたのか、クラウスは眉をひそめた。
「エマ、俺の話を聞いているのか?」
わたしは懇願するように彼を見上げた。
「クラウス、どうしても離婚しなきゃいけないの? 彼女が病気なら、群れでいちばん優秀な医者たちに診せればいいでしょう……」
「エマ! 彼女には俺が必要なんだ!」
クラウスはわたしの言葉をさえぎった。
「わかるか? おまえさえいなければ、とっくに彼女が俺のルナになっていた」
「彼女は信じられないほど優しくて、心の底から俺を愛している。俺たちが結婚していたせいで、おまえを傷つけたくないと願っていた。この一年、俺たちのあいだにやましいことは何ひとつなかった」
「俺は彼女に償いたい。なのに彼女はずっと俺を拒み続けている」
「エマ、これ以上、俺におまえを悪意のある女だと思わせるな!」
その目に浮かぶ嫌悪が、深く胸をえぐった。
つまり彼の目には、妻ある男と関わる女こそが優しい女で、
夫を手放したくないと願うわたしのほうが、悪意に満ちた女なのだ。
「でも……」
わたしはうつむき、そっと自分の腹に触れた。
「エマ、おまえは子どもすら宿せない。そんなおまえが、どうして俺のルナでいられる?」
その態度は氷のように冷たかった。
涙が頬を伝い落ち、声が震える。
「もし……わたしが妊娠していたら?」
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——
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身を引くことは、彼のそばにいることよりも、もっと危険かもしれない。
冷酷非道な大物との政略結婚を強いられ、私は開き直った
ヤクザの家に生まれた宿命を恐れるあまり、私は幼馴染の周防文哉のもとへ逃げるように嫁いだ。
けれど結婚から五年――私は家畜のように囚われ、夫とその愛人に蹂躙され続けた。息絶えようとするその瞬間、最後に目に映ったのは、私の目の前で絡み合う二人の姿だった。
【転生】
再び目を開けると、婚約が公の場で発表されたあの瞬間に戻っていた。
周防文哉が愛おしそうに私を見つめ、優しく囁く。
「俺と結婚してくれ。」
次の瞬間――若きヤクザの組長が私の腕を掴み、力強く抱き寄せた。銃口は真っ直ぐ周防文哉に向けられている。
彼が、私の代わりに答えた。
「――断る」
家族の縁を切った日、兄たちはすべてを失った
公平を期すという名目のもと、兄たちは彼女からリソースを根こそぎ奪い、その尊厳を踏みにじってまで、運転手の娘を支えた。
彼女は兄たちのためにすべてを捧げたというのに、家を追い出され、無残に死んだ。
生まれ変わった今、彼女は人助けの精神などかなぐり捨てた。許さない、和解しない。あなたたちはあなたたちで固まっていればいい。私は一人、輝くだけ。
兄たちは皆、彼女がただ意地を張っているだけだと思っていた。三日もすれば泣きついて戻ってくるだろうと高を括っていたのだ。
だが三日経ち、また三日経っても彼女は戻らない。兄たちは次第に焦り始めた。
長兄:「なぜ最近、こんなに体調が悪いんだ?」――彼女がもう滋養強壮剤を届けてくれないからだ。
次兄:「会社のファイアウォールは、なぜこうも問題ばかり起こす?」――彼女がメンテナンスに来なくなったからだ。
三兄:「新薬の開発が遅々として進まないのはなぜだ?」――彼女が治験をしなくなったからだ。
四兄:「どうしてこんなにつまらない脚本しか上がってこない?」――彼女がもう執筆しないからだ。
五兄:「この義肢は、なぜこんなに出来が悪いんだ?」――彼女が製作をやめたからだ。
六兄:「なぜチームが負けた?」――彼女が脱退したからだ。
兄たちは地に膝をついて許しを請うた。「戻ってきてくれ。俺たちこそが、血を分けた本当の家族じゃないか」
彼女は絶縁状を兄たちの顔に叩きつけ、冷ややかに笑った。
「車が壁にぶつかってから、ようやくハンドルを切ることを覚えたのね。株が上がってから、ようやく買うことを覚え、罪を犯して判決が下ってから、ようやく悔い改めることを覚えた。残念だけど、私は――許さない!」
私が去った日
けれど最後に彼が選んだのは、私ではなく、彼の初恋の女性だった。
夫は、私の心を深く傷つけただけではない。あの女が私の大切なジュエリーデザインを盗むことを許し、さらには実の息子までも操って、私を「怪物」だと思わせた。
嘘で塗り固められた結婚生活の中で、私は少しずつ自分を失っていった。
息が詰まるような日々。愛されていると思い込んでいた時間。すべてが偽りだった。
けれど、彼らはひとつだけ間違えた。
私を、もう戻れないところまで追い詰めたこと。
私が去ると決めたあの日。
私は、最低な夫も、母親への感謝を忘れた息子も、そして彼らによって壊された過去の自分も、すべて置き去りにした。
親友の支え。そして、私の本当の価値を見抜き、才能を認めてくれたある若き実業家との出会い。
その温かな手によって、私はもう一度、自分自身を取り戻した。
失った誇りを取り戻し、眠っていた才能を開花させ、世界へ羽ばたくデザイナーとして新たな人生を歩み始めた。
今、私の作品は世界の舞台で輝いている。
一方で、かつて私を捨てた男は、跪いて許しを乞う。
「戻ってきてくれ」と。
けれど、もう遅い。
私が去ったあの日こそが、私が本当の自分を取り戻した日。
もう二度と、過去には戻らない。













