第166話思いがけない再会

工作員の目が見開かれた。

薬は即座に効いた。声ひとつ上げる間もなく、身体から力が抜け、横へと崩れ落ちる。

「何をしてやがる!」彼女の右にいた男が武器に手を伸ばし、身を躍らせた。

だが、エマのほうが速い。

意識を失った工作員のホルスターから拳銃をひったくり、そのまま男のこめかみに叩きつけた。

鈍いひびき。男は喉を潰したような悲鳴を漏らし、血のにじむ頭を両手で押さえたまま座席にもたれ崩れた。

車内は一瞬で修羅場と化した。

「止めろ! 車を止めろ!」

運転手はルームミラーに映った混乱の閃光を捉え、パニックのままハンドルを引っ張った。

車はぬかるんだ道で大きく尻を振る。

タイヤが地...

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