第168話ブラックマーケットバウンティ

三人称視点

エマはゆっくりと目を開けた。

まず鼻をついたのは、つんと鋭い消毒液の匂いだった。

視界が少しずつ焦点を結ぶなか、彼女は真っ白な天井を見上げた。

ここはブリッジウェスト医療センターの病室だった。

「エマ!」

デイジーはベッド脇に身を投げ出すように駆け寄り、エマの肩を両腕で強く抱きしめた。目は赤く腫れ上がっている。

「やっと目を覚ましたのね」

声が震えていた。

エマは身じろぎし、上体を起こそうとした。

そして自分の手元を見下ろす。

銀色の手錠はもうなかった。両手首には分厚い白い包帯が巻かれ、その下の傷がずきずきと鋭く痛んでいた。

彼女は部屋の向こう、ソファのほうへ目を向けた。...

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