第179話アルファみたいなブラフ

その声が落ちた瞬間、廊下のあらゆる音が途絶えた。

そこに立っていた者は、施設を徹底的に荒らしていた執行官たちも含め、全員がぴたりと動きを止め、声のした方へと顔を向けた。

集中治療室の扉は大きく開け放たれていた。

クラウスが戸口に立っていた。片手を枠に突き、身体を支えている。

頭には厚い白い包帯が巻かれ、乾いた血の痕がかすかに滲んでいた。顔色はまるでなく、青と白の病院着はきちんと留められていない。襟元がだらりと開き、包帯で覆われた胸元が覗いていた。

点滴のラインを引きちぎった名残の医療用テープが、手の甲にまだ貼りついたままだ。

常識のある人間なら誰が見ても、彼がひどい状態だと分かる。...

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