第183章あなただけが彼女を認識している

三人称視点

アンドリューとスティーヴンは、廊下で更新された警備体制の確認を終えると、集中治療室を出た。背後で扉を引き、静かに閉める。

廊下の物音はそこで途切れた。

部屋に残されたのは、エマとクラウスだけだった。

鎮静剤が効き始めていた。クラウスの呼吸はいくらか落ち着いている。だが右手だけは、エマの手首をきつく包んだまま、脈を確かめるように指先を押し当て、強く握りしめていた。

エマは手を引き抜こうとしてみた。びくともしない。

彼女は彼の顔を見下ろした。青白く、打撲の痕があり、薬でも完全には拭いきれない何かの緊張が、なおそこにこびりついている。

「クラウス」

エマは声を低く保った。...

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