第189話ムーンリバーに行く

三人称視点

フィオナはそれを聞くと、ソファから立ち上がった。これ以上は踏み込まない。彼女は荷物を手に取り、助手に軽くうなずいてから、扉へと向かった。

出入口の敷居で、彼女は足を止める。

エマを振り返った。

「あなたに恨みがあるわけじゃない」そう言った声は静かで、まっすぐだった。「ただ、ジャスティンには、ここに縛られたままでいるのを終わらせる権利があると思うの」

そして彼女は去った。

そのあとエマは、誰もいない会議室に長いこと座り続けた。

胸の奥の圧迫感は、少しも軽くならない。

やがて彼女は立ち上がり、廊下を戻ってクラウスの部屋の扉を押し開けた。

彼はベッ...

ログインして続きを読む