第25章:この泥棒!

エマ視点

翌日、私はアリステア教授の研究室へ行き、仕事に没頭した。

教授の研究は狼人間の心臓が持つ特異な構造特性を扱っており、理論を裏づけるためには精密な解剖図が必要だった。

それは私にとって試練であると同時に、好機でもあった。

それから数日後の晩、研究室のほかの面々は夜更けには帰っていた。

時計に目をやる。もうすぐ午前零時。それでも手を止めたくなかった。

机の上の心臓解剖図は、あと数筆で仕上がるところだった。

教授を驚かせたかったのだ。

息を殺し、心室壁の筋繊維の質感を慎重になぞっていく。

ようやく筆を置いたとき、窓の外では風がいっそう激しくうなり声を...

ログインして続きを読む