第82話ソーレンの状態

三人称視点

ジャスティンはエマの手を握り、二人で車へ向かった。

エマは反射的に手を引っ込めた。まるで、さっきまでの親密さなど観衆に見せるための演技にすぎなかったと言わんばかりに。

ジャスティンの胸を失望がちくりと刺したが、彼はすぐにそれを隠し、相変わらず紳士的に彼女のためにドアを開けた。

二人が座席に落ち着くと、ジャスティンは身を乗り出してエマのシートベルトを留めようとした。しかし、彼女が手を上げて制した。

「自分でやるわ」

エマは少し気まずそうに言った。

「だって、私たち……恋人のふりをしてるだけでしょう。今は他に誰もいないし、わざわざ演じなくていいわ」

ジャステ...

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