第100章

陸上睦月は衝撃を受け、心の中で黒川家の家風はそこまで奇妙なものなのかと訝しんだ。

この年頃の兄妹が同じ部屋で寝るなんて、何か間違いが起こらないのだろうか?

彼女は自分が両親に会い、結納まで済ませた婚約者だぞ!!!

この孫婿という立場も黒川のお爺さんが自ら認めたものだ。この事実を受け入れられず、彼は探るように再度尋ねた。

「瀬奈はどこに?」

黒川颯は、その「瀬奈」という呼び名を聞いた途端、カッと頭に血が上った。自分の妻の愛称を、この男はずいぶんと気安く呼ぶではないか。まるで挑発されているようだ。

男の負けん気が、この瞬間の我慢を許さなかった。たとえ言葉の上だけでも優位に立ち、主権を...

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