第114章

社員用エレベーターが開き、ドアの外で待っていた人々が次々と乗り込んでいく。ほんの数秒でエレベーターは満員になった。

羽鳥汐里は人でいっぱいのエレベーターを見て、不満を露わにした。

彼女は黒川グループで今日まで横暴に振る舞い、会社の誰もが彼女の命令に従わなければならなかった。この連中は挨拶ひとつしないばかりか、自分がエレベーターの外に押しやられているのを目の当たりにしながら、先に乗らせようともしない。

彼女はエレベーターホールで十分近くも待ってようやく乗り込み、愛妻弁当を手に、まずはデザイン部へと向かった。中島玲那がコーヒーカップを手に部屋に入ってきて、彼女の肩をかすめるようにして自分の...

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