第121章

黒川颯は爺さんにこっぴどく叱りつけられた。爺さんは皆の目の前で森下に命じ、玉龍ヶ浜のあのマンションを売却するように言いつけた。不吉なものは残しておけない、と。

黒川耀司の方はすでに友人に頼んで、物件の間取り図を手に入れていた。

爺さんは黒川耀司から渡された図面を見て、ようやく眉間の皺を緩めた。

黒川颯の額からはまだ血が滲んでいた。今回、爺さんが丸一日跪けと言わなかっただけでも、軽い罰だったと言える。

伊井瀬奈は爺さんの怒りが少し収まったのを見て、黒川颯を部屋に引き入れ、救急箱を持ってきて彼の手当てを始めた。

ピンセットで掴んだ脱脂綿が傷口に触れると、黒川颯は思わず「うっ...

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