第126章

羽鳥汐里は目を赤くして大きく息を吸い込んだ。最近の黒川颯の自分への態度を思うと、窒息しそうになる。

甘えてみたり、仮病を使ったり、飛び降り騒ぎを起こしたりしても、彼が側にいてくれるのはほんの束の間。羽鳥汐里は心の底では分かっていた。黒川颯が自分からどんどん離れていき、一歩また一歩とあの伊井瀬奈とかいうクズに近づいていることを。ただ、それを認めたくなかっただけだ。

黒川織江が彼女を支え、ゆっくりとテーブル席へと戻る。

羽鳥汐里は心に苦いものを感じていた。何としてでも良い方法を考え出し、伊井瀬奈を黒川颯の側から完全に追い払わなければならない。

「織江、この前連絡したメディアの人たちに、も...

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