第130章

「どこが壊されたんだ、見せてみろ」

黒川颯は気が済むまでキスをしてから彼女を解放し、本題を思い出した。

伊井瀬奈は頬を紅潮させ、まだ先ほどのキスから感情が抜け出せずにいた。

「包装箱の中に」

彼女は一息ついてから、巨大なギフトボックスを開け、ドレスを取り出して黒川颯の前に差し出した。

黒川颯は腰の部分にある黒い文字の列を目にし、目を細めると、すぐさま携帯電話を取り出して神谷竜也に電話をかけた。

軽快な着信音がドアの外で鳴り響き、伊井瀬奈は一瞬気まずくなった。また神谷秘書の前で生中継してしまった、恥ずかしい。

数秒後、神谷竜也がドアを開けて入ってきた。

「黒川社長、...

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