第142章

「条件は何でもいい、だろう?」

黒川颯は彼女に後ろめたい気持ちがあり、当然、きちんと埋め合わせをしたいと考えていた。

「言ってみろ。俺にできることなら」

伊井瀬奈はもう躊躇わなかった。

「黒川グループの原始株を五パーセント欲しい」

その言葉に、黒川颯の顔色が一変した。黒川グループの年間収入は千億を超え、この五パーセントの株式配当は決して少なくない。黒川颯自身が持つ株でさえ二〇パーセントに過ぎず、祖父が最も多く、家の叔父や両親が一部を、残りは親戚で分け合っているのだ。

彼女の要求は、彼の財産の四分の一を直接奪うに等しい。

黒川颯は意外に思った。よくもまあ、そんなことを言えたものだ...

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