第247章

ソファに腰掛けた伊井のお婆様は、涙を拭っていた。

「あんたの頑固なお爺さんが、あの子の帰りを許さなかったら、お母さんが死ぬことなんてなかったのに」

伊井瀬奈はお婆様の隣に座り、そっと慰める。

「お婆様、もう悲しまないでください。今回はお母様を迎えに行って、J市で一人ぼっちにさせたりはしませんから」

伊井のお婆様は、愛おしそうに伊井瀬奈の手を取った。

「子や、お母さんが逝ってからの数年間、あんたは辛かっただろう?」

伊井瀬奈は涙をこらえた。

「お婆様、辛くなんてありません。お祖母様がとても可愛がってくれましたから」

伊井真が、祖母と孫の会話を遮った。

「明日、俺と瀬奈でJ市へ...

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