第273章 人を捕まえる

伊井真が紹介を終え、鳳響司に尋ねた。

「鳳さん、確かこの間お見合いしたって聞きましたけど、駄目だったんですか?」

 鳳響司はふっと笑った。

「あれは母さんがセッティングしたものでね。顔を出すだけで終わらせたよ。人生の一大事なんだから、自分で納得できる相手じゃないと。そう簡単に決められるものか」

 そう言って、何気なく伊井瀬奈の方へ視線を送る。心の中では密かに喜び、なぜだか良いことが起こりそうな予感がしていた。

 伊井真が眉を上げる。

「駄目で良かった。君が独り身じゃなかったら、この件は安心して任せられなかったからな。今、妹がJ市で経営している会社の内部管理に問題が出ていて、身内を...

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