第278章

鳳響司は軽く咳払いをし、伊井瀬奈に酒を注ぎ続けた。

「おばさん、悪いけどまずはご自分の息子の心配でもしたらどうかしら。うちの瀬奈がどうしてわざわざ目も見えず足も不自由な男を取り合う必要があるの? そんな無駄口を叩く暇があったら、さっさと息子さんの相手を探してあげなさいよ。ぐずぐずしてたら、その目の見えない足の不自由な人だって、他の人に取られちゃうわよ」

 陶山莉緒は唇を真っ白にして、危うく立っていられなくなるところだった。

「織江、行きましょう、行くわよ!」

 レストランのマネージャーが二人を向かいの個室へと案内し、黒川織江に新しいタオルを渡した。

 黒川織江はまだぶつぶつと悪態を...

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