第447章

伊井瀬奈は食欲が湧かず、心身共に抜け殻のようになっていた。ふと窓の外へ視線をやると、北郊外の墓地が遠くないことに気づく。

「黒川颯、墓地に連れて行ってくれない? 羽鳥お婆さんが眠っているの。しばらく行けてなかったから」

「わかった」

今の彼女が何を言おうと、彼はすべて受け入れるつもりだった。

黒川颯はカーナビをセットし、北郊外の墓地へと車を走らせる。途中、信号待ちの間にダッシュボードから棒キャンディを取り出すと、彼女の手に握らせた。

伊井瀬奈は少し呆気にとられた。

「どうして車にこんなものが?」

「この前、子供たちに玩具を買った時のオマケだ。あいつらが食うと虫歯になる。お前が食...

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