第85章

修也は首の後ろをさすりながら、殊勝な態度で謝った。

「あの日は俺が悪かった。すまない」

拓真は瀬奈の前で、彼に一切の面子を立てようとしなかった。

「謝って済むなら警察はいらないだろ?」

修也は言葉に詰まってしまった。

瀬奈は水を買って戻ると、静かに二人の口喧嘩を聞いていた。どう聞いても、痴話喧嘩のように聞こえる。

「義姉さん、付き添いの人がいるみたいだから、俺はこれで。何かあったらまた連絡してくれ」

拓真はそう言うと、ドアを開けて出て行った。修也は額を拭いながら後を追う。

「うちに来ないか? 夜は火鍋にするんだ」

修也は言葉がややストレートだ。人を罵るのは得意だが、機嫌を取...

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