第164章 ハリソンに出会う

スローン視点

「私は大丈夫」

ふくらんだお腹をそっと撫で、落ち着いた声で皆を宥める。

「もう片づけたから。今日のことは、わざわざジャレッドに報告しなくていい」

護衛隊長は額の冷や汗をぬぐい、何度も頷いて引き下がった。

さっきの一件で多少気分を削がれた。厄落としのつもりで、私はすぐにはモールを出ず、連れてきた人間を伴って上階のラグジュアリーなメンズフロアへ向かった。

ジャレッドは肌に触れるものに関して、異常なほど神経質だ。

生地の触り心地も、縫製の精度も、ほんの少しでも気に入らなければ二度と身につけない。捨てるほうが早い、という男。

私は勝手知ったる彼の御用達、某国のオーダーブ...

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