第35章 またいなくなったと思った

スローン視点

そう言うと、私は彼の顔に渦巻く嵐がどんなものか確かめる気にもならず、そのまま横を通り過ぎてデイビッドに声をかけた。

「行こう」

ジャレッドは止めなかった。けれど、背後からついてくる気配がした。

孤児院の裏手――大きな木の下に、小さな石碑がひっそりと立っている。

私はデイビッドが買ってきてくれたカモミールの花束を碑の前に供え、指先で落ち葉を一枚、そっと払った。

数歩離れた場所にジャレッドが立っていた。たったひとつの名だけが刻まれた冷たい石を見つめ、それから私を見て、今までにないほど複雑な表情を浮かべる。

「……あの人は、私を助けて死んだの」

私はしゃがみ込み、石碑...

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