第42章 本当に愚かだ

彼女は、私のプライドも、無理して笑っていることも、全部わかっている。

――そのとき。

場違いな声が、空気を切り裂いた。

「おばあさま、もうボケてしまわれたんですか?」

視線を向けると、仕立てのいいスーツに身を包んだ中年男が、ゆったりとこちらへ歩いてくる。整った身なりとは裏腹に、目つきだけがやけに意地が悪い。私を見る視線は、まるで値踏みするみたいだった。

覚えている。ジャレッドの叔父、アモス・モントクレア。

有名な、筋金入りの成金主義者だ。

アモスは祖母の車椅子の前まで来ると、わざとらしく眉をひそめて言った。

「ジャレッドは一族の後継者ですよ。妻にするなら家柄の釣り合った令嬢で...

ログインして続きを読む