第45章 子どもを産んでくれ

スローン視点

白みはじめた空の下、狂おしい波がようやく引いていく。残ったのは、荒れ果てた静けさだけだった。

私は力を根こそぎ奪われたみたいに、柔らかなマットレスへ沈み込み、指一本動かせずにいた。

背後からジャレッドが抱き締めてくる。逞しい胸板が背中へ密着し、熱を帯びた息が首筋にかかる。嵐のあと特有の、気だるい温度。

彼は顎を私の肩のくぼみに預け、腕へ力をこめた。まるで私を骨の髄まで自分のものにしてしまうみたいに。

「スローン」

不意に名を呼ばれた声は、朝の静寂を裂くほど低く、掠れていた。

「俺の子を産め」

心臓が、ひゅっと跳ね上がる。

――その言葉は、私があの晩餐会で投げつ...

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