第106章

教授はずいぶんと痩せこけ、髪は真っ白になっていた。手入れの行き届いた同年代の人間よりも、ずっと老けて見える。

唐沢優子は、自身の恩師を見つめていた。

三年の月日が流れた。

かつて教授が提唱した仮説は、ある者たちの利益を揺るがし、彼は「狂人」に仕立て上げられた。唐沢優子はずっと知っていた。海への投身は山田の自衛策であり、もしあの者たちに捕まれば、ただただ苦しめられるだけだったと。

三年後、連合体は山田教授の法的身分を回復させた。

おそらく、教授に何か協力してほしいことがあるのだろう。深く考えれば、連合体内部で権力交代があったのかもしれない。

いずれにせよ、世間の人々が見ている世界と...

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