第13章

十年前、唐沢優子は海難事故で家族全員を失った。

彼女には家族がおらず、いるのは幼い頃から児童養護施設で共に育ったアルセルと、彼女を絶対的に信頼するこの実験体たちだけだった。

「優子……」

彼は途切れ途切れに彼女の名前を呼び、最後の力を振り絞って、引き裂かれた四肢を引きずりながら必死に彼女の方へと這っていく。

「……驚異的だな」

スクリーン越しに観察していたエンジニアが、創造主の神秘に感嘆の声を漏らした。

彼の治癒速度はこれまでのいかなる攻撃を受けた時よりも速く、その強靭な生命力は驚嘆に値した。だが、それ以上に彼らを震撼させたのは、彼が感情を持っているという事実だった。

あり得な...

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